砥石を使った包丁の研ぎ方が1000円で教われることは世界を変えているか?
ストリートアカデミーで、定年退職後のシニアの方が包丁の研ぎ方講座を教えています。ニッチで笑うなかれ、結構感動の口コミコメントが寄せられているんです!
ストアカの「教えるとはワークショップ」に定年退職した方が来た!
最近、一ヶ月に一度位のペースでストリートアカデミーで教えたい人向けに「あなたの教えるとは?」(http://www.street-academy.com/myclass/72)というワークショップを開催しています。
自分は人に教え方を伝授できる程の講師ではないのだけど、色んな先生達をお世話してきた経緯で学んだ集客に関するコツなどを、教えてみたいけどまだ最初の一歩を踏み出す勇気が持ててない人の背中を押すことで教える人を世の中に増やそうという、そういう趣旨でやってたりします。
毎回参加者は6人から10人程度。老若男女、学歴も興味もさまざま。誰でも参加できて参加費が1000円なので、正直色んな人が来る。まだ「教えたい」というところまで意識が至っていない人、サイトの細かい使い方だけを聞きたがる人などなど。
そんな中、4ヶ月程前だったか、豊住さんという60代の方がいらした。大手企業を長年勤め上げた後定年退職をされてシニアライフを謳歌されており、たまたまストアカで生徒として写真の講座に参加したところ、その写真の先生の指導ぶりを見るに、ご自身でも教えていた頃の喜びをまた味わいたくなったと、教えるワークショップに申し込んで下さった。
この教えるワークショップでは、前半に集客力のある講座作りのコツを一通りプレゼンで説明し、後半では参加者各々に、自分が教えたい講座のタイトルをラウンドテーブル方式で一人ずつ皆の前で30秒で説明してもらうというワーク部分を用意しています。
自分みたいな起業家なんかは「エレベーターピッチ」というコンセプトには慣れているけれども、一般の方には、年齢も性別もばらばらの見ず知らずの人を前に自分の教えたいものを発表して貰うというのは意外と心理的ハードルが高いみたいだが、やると意外にもウケが良い。見ず知らずの関係だからこそ得られるフィードバックを皆さん結構ありがたがって下さる。ちなみに一人ずつプレゼンした後に全員でコメントして貰うのだが、アドバイスではなく、あえて聞いた限りで個人としてその講座を受けたいと思った否かを単刀直入に言って貰うようにしている。
話は逸れたが、このワークショップで、豊住さんがプレゼンされたのが包丁の研ぎ方講座:
「私が皆さんにシェアできることと言ったらサラリーマン時代に研修で教えていた包丁の研ぎ方位。皆さんが興味持つか分かりませんけど、でも包丁って研ぎ方次第で本当に見違える用に切れるようになるんですよ」
このピッチがその場で結構大きな反響を呼んだ。彼のトークには明らかに包丁の切れ味と技術に対する「パッション」が感じられ、それに自分を含めて皆聞き入った。参加していた女性はほぼ全員「是非受けたいです!」と言った。
豊住さんはよっぽど嬉しかったのか、このワークショップの参加感想に以下のようなコメントを残して下さった:
「講座を起業する、何かに挑戦するワクワク・ドキドキ感は幾つになっても必要なことなんだ!を気づかせて頂きました。果たして自分のスキルに市場価値があるのか?組織の一員では味わえない世界に挑戦させて頂きます。」
ワークショップで背中を押されて実際に先生デビューされた
そうして1ヶ月後位に、ストリートアカデミー運営事務局に、豊住さんからの新規講座申請が上がって来た。
まあ、初めて教える訳だし、場所も荒川区だし、正直運営側としてもそんなに簡単に受講予約は入らないんじゃないかと思って見ていた。ところが、しばらくして池袋にある親子サロンの運営者から是非メンバーの為にやって欲しいとお声がかかったらしく、そこのサロンで出張開催をされ、その後、不定期で荒川区のご自宅で少人数で開催されるようになった。頻度は1ヶ月に一度位か。
で、以下参加者の声なんですが、すごい良いと思ったんです(まあ自分は運営者なので当たり前からもしれませんが・・・)
もう一人からも:
これって、なんと言うか、自分が世に生み出したかった「スキル共有」という事はこういうことなんじゃないかなと思ったので、伝えたいと思った次第です。
小さな事例だけど、これは世界を変えているか?
荒川区の自宅でリタイアしたシニアの方から包丁の研ぎ方を教われるようになったからってそんなに世界変わったかって言う人もいるかもしれません。
でも自分としては確実に変わったと思うのです。今現在どこで講師を努めているでもない一般の方が自宅で講座を開催し、先生としてデビューし、教わりに来た人が感動している。
一人1000円で一回3名だと収入自体はそんなにですが、そもそも1000円という値付けをした時点で稼ぎが目的ではなく、自分のスキルを他の方に伝ええる場が持てて、そのスキルを学びたい人と複数出会えた、という事が価値なんじゃないかと。
ちなみに豊住さんご本人の言葉を借りると「堕情な生活に喝を入れる」というのが目的だそうです:
そして受講された方は、感想コメントを見る限り、新たなスキル以上に、見識を広めることができ、出会いと交流も価値として得ています。
包丁の研ぎ方講座自体の単体としての収益やトラフィックへのインパクトやコンテンツとしての再現性は低いかもしれません。
でもこういったニッチなニーズをスモールグループでマッチングする事は、これからのウェブに求められてくるのではないでしょうか。
どの街のカフェや公園や路上でも、こんなニッチな講座がいくつもいくつも同時多発的に起こっている世の中になったら、面白いと思いませんか?
ストリートアカデミーの「ストリート」という言葉は巷という意味を指します。
誰もが何かしらスキルを持っていると思うのです。そして相手に対してスキルの格差がちょっとでもあれば、誰もが先生になれると思うのです。人を呼ぶプロセスが面倒という人もいますが、カフェでも公園でも、2・3人からでも、あなただけの授業は開催できます!
ストリートアカデミーは、現在教室を開催していない潜在層もターゲットにして、全国で3年以内に10万人を先生として輩出することを目指します。既にカルチャースクールに登録している講師だけで5万人いるのでこれは非現実的な数字ではないと思っています。
ということで自分もちょと教えてみたかったというあなた、是非教えてみて下さい!