まなびを自由に!Edutech起業家のブログ

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Startup Weekend Education Tokyoでメンターをやらせて頂きました

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久々のブログです。

アップするのが遅くなりましたが、先週の日曜日にStartup Weekend Education Tokyoなるイベントに、メンターとして参加させて頂きました。

 

Startup Weekendって何?

こちらのビデオを見ると分かり易いと思いますが、

Startup Weekendとはスタートアップしたい人が週末をかけて起業を体験できるプログラムです。ワールドワイドに展開しているNPOで、日本においても東京、大阪、福岡、沖縄など各地でほぼボランティアが主体となって開催されています。

 

参加者は金曜日の夜から日曜日の夜まで缶詰状態で、メンバー集め、ビジネスアイデアのブラッシュアップ、市場調査、プロトタイピングなどを一気通貫で行い、ジャッジの前で最終プレゼンをして優勝者を決めるという形式になっています。

起業したいけどまだサラリーマンを辞める勇気がないというような人にはよく奨められるイベントです。Startup Weekendに参加すると:

1)起業に対して真剣なチームメンバーと出会える(可能性がある)

2)アイデアを形にするということを肌身で体験できる、

3)起業家としての自分の素質と足らない部分が客観的に把握できる

などのメリットがあると良く言われます。

 

54時間で知らない人とチームを組んで事業を作るというバーチャル体験的を経て、イベント終了後にそのまま企画したビジネスアイデアをそこで出会ったチームで始めてしまうというようなチームなんかもあります。1年前に起業したSENSEI NOTEなどがその代表格です。

 

今回は"Startup Weekend Education"という名前の通り、教育業界におけるイノベーションに特化したバージョンで、そのトピックの関連で"教育系"の起業家の端くれである自分にもメンターのお誘いがあった次第です。ちなみに今回同様にメンターを勤められたのは、マナボ CEOの三橋さん、Cyta.jp CTOの富田さん、ギブリーCOOの新田さんなど。  

 社名は自分にもおなじみのところが多かったです。

 

今回の開催のレポートは下記ブログで詳しくまとまっています。

 「Startup Weekend Education」イベントレポート(1) | MAKE2020

「Startup Weekend Education」イベントレポート(2) | MAKE2020

「Startup Weekend Education」イベントレポート(3) | MAKE2020

  

 メンターとしての役割

参加者にとっては、1日目のチームビルディングとアイデアのブレストを経て、2日目はビジネスモデルのブラッシュアップや仮説検証を行うフェーズに入ります。その2日目の13:00 - 16:00までの時間に、メンター2人がペアとなってチーム毎に順繰りにビジネスアイデアと現状に対するフィードバックやアドバイスを行います。全チーム回るので、各チームと過ごす時間は15分しか無く、事業内容の簡単な説明を受けて即答でフィードバックをするという、極めてスピードを求められるセッションでした。
 
今回自分としてはメンターとして何をアドバイスするべきか、かなり悩みました。
自分も広義の意味ではEdutechと言えるサービスを立ち上げているものの、王道の"教育事業"の領域(例えば知育、学校教育、保育など)に関してはそれほど知見を持っている訳ではないので、あまりそこに自分が具体的なアドバイスをする意義は少ないだろうと思いました。だから、事業の見立てというよりは、どちらかというとスタートアップする際に一番問われる「事業のWHATとWHY」の輪郭をしっかり作っているかというところに絞ってフィードバックさせて頂きました。
メンターという立場は相手ありきの立場なので、意外にこういうことで悩みますね。実務的なアドバイスをすべきか、それとも本質的な問いかけの鏡になるべきなんだろうか・・・。人によって求めていることも違うし、と。
 

"起業のWHATとWHY"とは

僕が考える"起業のWHAT"とは、以下の質問に答えることです:
1)(ビジネスアイデアで)解決したいと思っている問題は何か
2)それに対して提供したいソリューションはどういったものか
3)それは誰がいつどんな状況で使うものか
4)市場に既にあるソリューションは何か。何故それでは事足りないのか
単純な質問ですが、新しい事業を興す際にこれらの質問と向き合って真剣に掘り下げるということを怠ると、ビジネスにならない・始める価値の無いアイデアで終わってしまうことが多いです。自分もベンチャーキャピタリストや先輩起業家に相談する度にこれらの質問を相当詰められました。
 
また起業のWHYとは、以下の質問に答えることです。
5)何故それをやりたいと思ったか
6)背景にあるどんな体験や想いが(自分を)突き動かしているのか
このWHYの質問の方が、実はWHATより重要だったりします。新しい事業を個人がゼロから立ち上げるということは大抵の人にとってはとてつもなく大変な(あるいはクレイジーに近い)ことであり、それをドライブする"パッション"を作り出すのがこの"WHY"だからです。WHYに個人的で本質的或いは強烈な原体験があると、例え事業のWHATが多少詰まっていなかったりぶれていても、いずれその人は成功します。何故ならその人にはやらねばならない理由があるからです。
自分が会った起業家には大概この「強烈な原体験」があり、その原体験のストーリー性とそこから来る熱意が周りの人を巻き込み、成功のうねりを作り出せているというような感じがします(自分もその一人であると信じたい!)。
 
だから起業したいという人に会うと、本気度を図る意味でも自分はよくこの"WHAT"と"WHY"を聞きます。
 

メンター・セッションを通じて感じたこと

今回、どの参加チームも皆優秀で、冒頭から流れるような説明で
ターゲット層は「◎◎」と設定し、そこに対してプロダクトとしては「XYZ」を提供し、マネタイズの手法としては「△△」を考えており・・・
みたいな説明がすらすら出て来ます。凄いのは更にほとんどのチームがビジョンステートメントまで創り上げていて
我々のビジョンは「社会における◎◎を◎◎することです」
なんて説明をしてくれるのです。
 
でも誤解を恐れずに言うと、それらの説明は自分から見るとつじつまが合い過ぎているというかやっぱりどこかキレイ過ぎて「絵に描いた餅」印象を受けてしまうんです。
本当に死ぬ程考え抜いた上でそれをやりたいと思って言っているのかって。
キレイな説明が無くてもいい。ただ何をやりたいのか、そのパッションを聞かせてくれよって思ってしまうんですよね。自分がそういうキャラだからでしょうか。
 
だから僕は失礼とは分かっていても毎回説明を途中で遮り、
ビジネスモデルは一旦置いておきましょう。
それよりあなたの解決したい問題は何ですか?
何故それをやりたいんですか  ?
とひたすら聞きまくりました。そして答えがあやふやだったりぶれていると
それが本当に問題なんですか
あなたは本当にそれをやりたいんですか
なんでそれが必要なんですか
などなど、とにかくしつこく掘り下げました。
 
結構意地悪ですよね。たまに「自分なんかが人の事業にここまで立入ったことを言ってしまって良いのかな」と邪念がよぎったりもしましたが、今回メンターのペアを組ませて頂いた、ギブリー株式会社で初心者向けログラミング学習サービスを立ち上げられた新田さんも、初対面同士なのにまるで示し合わせたように自分と全く同じ視点のフィードバックをしていたので、思わず笑ってしまい、やっぱりWHATとWHYを詰め続けることが良い事なんだって確信しました。だってやっぱりそうですよ。
 

フレームワークよりパッションが重要

最近はスタートアップに関する本やブログで情報はかなり溢れていて、起業に対してフレームワークや手法からアプローチする人が増えているんじゃないかと思ったりします。リーンスタートアップとかMVPとかビジネスモデルとかマネタイズとか。そういった本が普及して起業のハードルが下がっているのは自分も知っているのですが、やっぱり考えるべきはフレームワークではなくて自分に気合とパッションがあるかっていうことなんじゃないかって思うときがあるんですよね。

 勿論自分だって下記いずれも読みましたし名著だと思いますよ。

リーン・スタートアップ

リーン・スタートアップ

 

 

ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書

ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書

 

 

でも起業するって本当に大変なことだから、どんだけマジでどんだけ人生かけてやりたいんだよってところをはっきりさせておかないと失敗しちゃうぞって。 

 

初対面の人に対して目を見て「だって絶対やりたいから、絶対やらなければいけないから、僕は絶対これをやるんです!」って凄みを持って言えない人は、起業の最初のハードルとなる仲間集めも資金調達もクリア出来ないですよ。
 
ということで、厳しく言いたい放題言わせて貰った起業家の卵の皆さん、失礼があったらごめんなさい。この場を借りて誤ります。
  
でも次また起業家から相談があっても自分はやっぱり聞くと思います。
「あなたが解決したい問題は何ですか」
「何故あなたはそれをやりたいんですか」
 
僕の原体験ストーリーについてはまた別途別のブログで書くことにします。 
 ではまた!